この記事で分かること
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都北区南部(旧滝野川区エリア) |
| 読み方 | たきのがわ |
| 地名の由来 | このエリアを流れる石神井川(しゃくじいがわ)の別名。 急流で「滝のような川」だったことに由来とされる。 |
| 最寄り交通 | 都電荒川線(東京さくらトラム)滝野川一丁目停留場、 JR王子駅・東京メトロ南北線西ヶ原駅などが徒歩圏。 |
| 街の特徴 | 下町情緒が残る住宅街。 飛鳥山公園や音無親水(おとなししんすい)公園など自然も多い。 |
| 「高級住宅街」か? | 邸宅街というよりは、 一戸建てとマンションが混在する住宅街というのが近い(詳細後述) |
滝野川と聞いて、東京都内のどのあたりかすぐに思い浮かぶ方は多くないかもしれません。
しかし、桜の名所として知られる飛鳥山や、都内では珍しくなった路面電車(都電荒川線)が今も走るエリアと聞けば、ピンとくる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、東京都北区にある滝野川について、地名の由来や歴史、街の特徴を詳しく解説します。
目次
滝野川の地名の由来
滝野川という地名は、このエリアを流れる石神井川(しゃくじいがわ)の別名に由来するといわれています。
板橋方面から流れてくる石神井川は、この付近で川底が深くなって渓谷状になり、流れも急でした。
そのため周辺の住民が「滝のような川」と呼ぶようになり、これが「滝野川」という地名の由来になったというのが定説です。
なお、地名の由来には諸説あり、この地を治めていた豊島氏の家臣・滝野川氏の名にちなむという説もあります。
この由来通り、滝野川は江戸時代から紅葉の名所として知られ、歌川広重の名所江戸百景「王子瀧の川」にもその景観が描かれています。
滝野川の特徴
滝野川は、どのような地域なのでしょうか。現代の滝野川の特徴を見ていきましょう。
風光明媚な場所
滝野川は江戸時代から紅葉の名所として知られてきた土地で、桜の名所として有名な飛鳥山公園をはじめ、音無親水公園など自然と触れ合えるスポットが豊富です。
全国的にも珍しくなった路面電車(都電荒川線)が今も走っており、のどかでレトロな雰囲気を感じられるのも滝野川の魅力です。
春の桜や秋の紅葉の時期には、路面電車の車窓からの眺めを楽しみに訪れる人も少なくありません。
下町風情が感じられる住宅街
滝野川にはJRの駅がなく、大型商業施設もありませんが、決して郊外ではなく、山手線の内側に広がる都心エリアです。
近隣にはJR山手線の巣鴨駅・大塚駅・池袋駅などがあり、都心にほど近い立地でありながら、昭和レトロな雰囲気を残す下町情緒が魅力です。
近年はマンションも増えていますが、古くからの一戸建ても多く、高齢者世帯や子育て中のファミリー層が暮らしています。
個人商店やスーパーもあり、隣接する王子駅周辺には飲食店も充実しているため、暮らしやすい地域といえます。
文教エリア
滝野川に隣接する北区中里には、進学校として知られる聖学院中学校・高等学校、女子聖学院中学校・高等学校があります。
いずれもキリスト教教育を理念に掲げる学校で、お受験でも人気があります。
こうした学校の存在から、滝野川は文教エリアとしての一面も持っています。
「高級住宅街」と言われることがある理由
検索すると「滝野川 高級住宅街」というキーワードが見られることがありますが、結論、滝野川は邸宅が立ち並ぶような典型的な高級住宅街ではありません。
後述するとおり、滝野川の住宅街は工場労働者とその家族の住まいとして形成された経緯があり、隣同士が密接する庶民的な一戸建てが多いのが特徴です。
一方で、飛鳥山公園に近いエリアなど利便性・環境の良い場所では、地価にばらつきが見られます。
国土交通省の地価公示(2025年1月1日時点)によれば、滝野川2丁目の地点で1平方メートルあたり約54万2,000円、滝野川5丁目の地点で約120万円と、同じ滝野川地区内でも地価に大きな開きがあります。
つまり滝野川全体を一律に「高級住宅街」と呼ぶのは実態と異なりますが、立地によっては地価水準の高いエリアも存在する、下町と住環境の良さが混在した街というのが実態に近い言い方です。
滝野川の歴史
滝野川の歴史は古く、鎌倉時代の史料にすでに地名として登場するといわれています。
江戸時代には歌川広重の名所江戸百景「王子瀧の川」にも描かれ、紅葉狩りの名所として賑わっていたと伝えられています。
反射炉・紡績所・軍需工場(明治初期〜)
江戸時代末期の1864年(元治元年)、江戸幕府は大砲製造のために滝野川に反射炉を建設しました。
動力用の水車を備え千川上水から水を引いていましたが、幕府の瓦解で実際に使われることはありませんでした。
この設備に着目したのが、民間初の紡績工場となった鹿島紡績所です。
1872年(明治5年)に操業を開始し、1888年(明治21年)に東京紡績へ吸収合併されています。
明治30年代後半(1905年前後)には、雷管の原料となる雷汞(らいこう)を製造する陸軍の施設も建設されました。
この施設はのちに「東京第一陸軍造兵廠滝野川工場」と呼ばれるようになります。王子・十条など近隣にも軍需工場が建てられ、一帯は軍需工業地帯となりました。
醸造試験所の設立
紡績所の跡地には、大蔵省が管轄する醸造試験所が設けられました。
1904年(明治37年)に設立され、清酒醸造の研究や技術者養成の講習が行われていました。
その後1959年(昭和34年)に国税庁の直属研究機関となり、1995年(平成7年)に主な機能が広島県東広島市へ移転。
跡地の建物の一部は「旧醸造試験所第一工場(通称:赤煉瓦酒造工場)」として2014年(平成26年)に国の重要文化財に指定されました。
住宅街と文教エリアの形成
工場ができると働く人たちが集まり、住む場所が必要になります。
こうして各地から集まった工員やその家族の住まいとして、滝野川に住宅街が形成されていきました。
同じ頃、教育機関の進出も始まります。
聖学院神学校は1903年(明治36年)に本郷(現・文京区)で設立され、翌1904年(明治37年)に校舎が現在の北区中里に新築されて移転しました。
校舎の完成とあわせて滝野川基督(キリスト)教会も設置され、現在もこの地に聖学院中学校・高等学校、女子聖学院中学校・高等学校が続いています。
滝野川の交通アクセス
滝野川には、都電荒川線(東京さくらトラム)の滝野川一丁目停留場があります。
都電荒川線は、早稲田駅から東池袋・大塚・西巣鴨などを経由して王子駅、荒川区の町屋・三ノ輪橋方面まで結ぶ路面電車です。
途中の停留場からJR線や東京メトロ地下鉄線に乗り換えることも可能です。
滝野川の立地によっては、JR京浜東北線の王子駅や東京メトロ南北線の西ヶ原駅も徒歩圏内になります。
また、池袋方面から足立区の西新井方面へ向かう都バスをはじめ、北区内を巡回するコミュニティバスも通っており、バスでの移動もしやすいエリアです。
オフィス移転先としての滝野川
滝野川は、山手線の内側にありながら地価・賃料が比較的落ち着いており、下町らしい暮らしやすさと、都心へのアクセスの良さを両立できるエリアです。
JR王子駅や巣鴨駅、東京メトロ南北線の西ヶ原駅が徒歩圏にあるため、複数路線を使い分けたい企業や、都心の主要エリアへの移動時間を抑えたい企業にとって選択肢になりやすい立地といえます。
また、飛鳥山公園や音無親水公園といった緑地が近く、路面電車が走るのどかな街並みは、オフィスワーカーの気分転換やランチタイムの休憩にも適しています。
大型商業施設が密集するエリアと違って落ち着いた環境で働きたい、という企業にもマッチしやすいエリアです。
聖学院をはじめとする教育機関が集まる文教エリアという側面もあり、地域全体として落ち着いた雰囲気があることも、オフィス街としての隠れた魅力の一つといえるでしょう。
滝野川のオフィス賃料相場
滝野川エリアの賃料相場は、坪単価10,000円前後〜12,000円前後が目安とされています(※立地・築年数・設備等により変動するため、あくまで参考値としてご確認ください)。
最寄り駅・停留所からの距離や周辺環境、オフィスビルの築年数・規模・設備によっても変動するため、実際の物件ごとに確認することをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q. 滝野川はどこにありますか?何区ですか?
A. 滝野川は東京都北区の南部に位置するエリアです。JR王子駅・板橋駅・西巣鴨駅に囲まれたあたりが、現在の滝野川の町域にあたります。
Q. 「滝野川」の読み方は?
A. 「たきのがわ」と読みます。
Q. 滝野川という地名の由来は?
A. このエリアを流れる石神井川の別名に由来するとされています。急流で川底が渓谷状に深くなり「滝のような川」だったことから、滝野川と呼ばれるようになったといわれています。
Q. 滝野川は高級住宅街ですか?
A. 典型的な高級住宅街とは言えません。工場労働者とその家族の住まいとして発展した経緯があり、庶民的な一戸建てが密集するエリアが中心です。ただし立地によって地価に幅があり、環境の良いエリアも一部存在します。
Q. 滝野川へのアクセス方法は?
A. 都電荒川線(東京さくらトラム)滝野川一丁目停留場が最寄りです。JR王子駅・東京メトロ南北線西ヶ原駅も徒歩圏内で利用できます。
まとめ
滝野川は、石神井川の急流を語源とする歴史ある地名で、江戸時代は紅葉の名所として、明治以降は軍需・紡績・醸造といった産業の拠点として発展してきました。
現在は下町情緒が残る住宅街であり、飛鳥山公園などの緑や文教エリアとしての一面も持つ、落ち着いた雰囲気のエリアです。
「高級住宅街」という言葉のイメージとは異なりますが、都心へのアクセスの良さと環境の落ち着きを両立できる立地は、オフィス移転先としても検討する価値があります。



