会社で実施する社内アンケートは、従業員の満足度を把握するため利用されることが多くなっています。社内アンケートは従業員の本音を引き出す目的があるもので、立場が異なる従業員の考えを幅広く収集可能です。

しかし、アンケートを実施しても従業員の本音が聞き出せないことがあります。アンケートは何となく実施しても、従業員は心理的バイアスが働きやすいため、本音で回答しやすい工夫が必要です。従業員が本音で回答できるよう、社内アンケートの目的や実施のやり方を見直してみてはどうでしょうか。

社内アンケートのデメリットや注意点

社内アンケートのデメリットや注意点

アンケートを実施しても従業員の本音が聞き出せないと、実施した意味がなくなってしまいます。誰でも心理的バイアスが働きやすいため、本音が聞き出せるアンケート内容や実施方法にしなければなりません。

1.社員の本音が聞き出しにくい

アンケートを実施しても従業員のほとんどが満足の評価をつけている場合は、注意が必要です。なぜなら、従業員は建前で回答しており、本音が聞き出せていない恐れがあるからです。

従業員が本音で回答できないのは、上司による圧力が原因かもしれません。上司にとってネガティブな回答は自分がきちんと管理できていないと感じるため、犯人捜しをしようとする場合があります。

また、会社の無言の圧力がある場合も、プレッシャーから従業員は本音で回答できません。プレッシャーは上司を中心に発せられていることが多く、従業員は上司の機嫌を損ねないよう本音で語ることはないでしょう。

ほかにも、「本音で回答したところで改善できない」という気持ちから、従業員が建前の回答しかしないことがあります。社内ではただアンケートを実施するだけになっており、改善しようという行動ができていない問題に注意してください。

2.回答した個人が特定されるリスクがある

従業員が本音で回答しない多くの理由は、個人が特定されることを恐れているからです。アンケートを記名式にするのはもちろんNGですが、匿名でも筆跡で個人が特定される恐れもあります。

個人特定リスクを避けるなら、Webアンケートがおすすめです。Webでの実施なら筆跡で個人が特定されることがなく、従業員は回答時間が少なくて済むメリットもあります。

3.中間の評価が多くなるリスクがある

従業員がアンケートに対して忖度すると、良い・悪いどちらでもない中間評価に回答が偏りやすくなります。個人が特定されないアンケートでも、回答に迷ったときは中間評価に偏りやすい傾向があるため注意してください。アンケートではあえて「どちらでもない」という回答をなくすことが必要かもしれません。

社内アンケートにはメリットもある

社内アンケートは、従業員の満足度を調べるため数ヶ月~1年単位で実施します。マネジメントが機能しているかの調査や、職場環境・福利厚生の検討目的、月1回程度の簡単なアンケートなどです。複数のアンケートはどれも共通したメリットがあります。

1.業務改善につながりやすい

アンケートで社内の問題が明らかになり、問題を改善することで、業務改善につながります。結果的に従業員一人ひとりの生産性が高まり、企業の業績アップが期待できます。

2.定着率がアップする

アンケートで従業員の声が反映されることで、従業員の仕事に対するやりがいがアップし、離職率の低下につながります。定着率がアップすれば、新たな人材を雇う手間や費用のコストが少なくなります。

3.組織力がアップする

従業員の生産性が高まることで、組織力アップにつながります。経営目標は達成されているのか、マネジメントがきちんと機能しているのか把握できるでしょう。また、社内アンケートを立場が異なる従業員で共有できるため、組織での問題解決に取り組みやすくなります。

社内アンケートによる3つの効果

社内アンケートによる3つの効果

幅広い企業が社内アンケートを実施するのは、効果が得られるからです。従業員の本音が聞き出せるようになれば、社内の問題解決につながり、従業員同士のコミュニケーションが活発になりやすいでしょう。

効果1.社内の問題が解決しやすくなる

社内には目には見えない問題が隠れているもので、社内アンケートで問題がわかり問題解決のきっかけとなります。

例えば、勤務時間に不満を感じている、人間関係が悪い、もっと福利厚生を充実させて欲しいなどの声がわかるでしょう。問題を把握することができれば、社内の制度自体の改善にもつながりやすくなります。

効果2.社内のコミュニケーションが活性化する

アンケート結果をきちんと公表すれば、従業員全体に社内の問題点を周知させることができます。問題点がわかれば組織での改善が求められるため、社内のコミュニケーションが活性化するでしょう。

効果3.社長の信頼感がアップする

社長自らアンケートを実施すれば、問題に対して行動しなければなりません。その姿勢は従業員にも伝わるもので、社長の信頼感アップにつながるでしょう。従業員の本音を聞き出したいなら、社長も会社に対して真摯に向き合う姿勢が必要になります。

まとめ

今回は、社内アンケートのメリット・デメリットや、社内アンケートから得られる3つの効果について解説しました。

企業が実施するアンケートは、実施する目的を明確にしてこそ意味があります。どんな問題を改善したいのか、どんな本音を聞き出したいのか、目的に合わせた内容のアンケートを実施しましょう。

また、個人が特定されない工夫や、評価に影響がないことも従業員に伝えたうえで実施するようにしてください。