社員の中に喫煙者はいますか?近年、健康を意識する人が増加し、喫煙者の人口は減少していると考えられています。しかし、全国たばこ喫煙者率調査では成人の約17.9%は喫煙しているというデータが発表されているなど、現在でも喫煙人口は一定数に上ります。

そんな中、2020年4月には健康増進法が改定され、企業のオフィスでも受動喫煙を防止するための対策に関する努力義務が課されることとなりました。分煙化が進む中、喫煙する人、しない人それぞれのことを考えて環境をつくることが大切です。

この記事では、分煙における最適な職場環境づくりの方法をご紹介します。

オフィス内の分煙は厚生労働省のガイドラインで定められている

オフィス内の分煙は厚生労働省のガイドラインで定められている

受動喫煙に関しては多くの企業が対策を講じていますが、2020年4月1日より「職場における受動喫煙防止対策のガイドライン」が全面施行されます。

この改正法により、望まない受動喫煙を防止するためのルールが運用され、原則として屋内は禁煙となり、喫煙は専用の喫煙室でのみ可能となります。

設置できる喫煙室のタイプについては、飲食店や病院など事業形態によって異なります。社内での分煙を考えている場合、厚生労働省のホームページで確認しましょう。

参考:厚生労働省「職場における受動喫煙防止対策について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/kitsuen/index.html

オフィスを分煙しないメリットとデメリット

オフィスを分煙しないメリットとデメリット

これまで企業においては、オフィス内での禁煙を許可しているところ、喫煙室での喫煙であれば許可しているところ、全面禁煙としているところなど、様々な対応が取られていました。最も受動喫煙が多くなる、オフィス内での喫煙に関してメリットとデメリットを確認してみましょう。

オフィス内で分煙しないメリット

まずはオフィス内に喫煙スペースを設ける場合のメリットを確認しましょう。

喫煙の移動に時間がかからない

オフィスの中でタバコが吸えるので、喫煙所まで移動する必要はありません。東京には喫煙所がたくさんありますが、ビル内に喫煙所があったとしても指定場所まで移動する必要があるためその移動にかかる時間を削減できます。

一緒に働く仲間とコミュニケーションが取れる

オフィス内で喫煙をする場合、喫煙所に行っていることが理由となる離席が少なくなります。タバコを吸っている間も業務に携わっていることができるため、必要に応じて周囲とコミュニケーションを取ることができます。オフィス内に喫煙スペースがある場合には、少し仕事から離れつつも仕事に関する情報交換や意見交換の場にもなるという声もあります。

オフィス内を分煙しないデメリット

次に、オフィス内に喫煙スペースを設けた場合のデメリットを確認しましょう。

タバコの臭いが漏れてしまう

オフィス内の喫煙スペースでないところにまでタバコのにおいが漏れてしまう場合があり、タバコを吸わない社員に迷惑がかかることがあります。

喫煙スペースの掃除が必要

賃貸オフィスは借り物ですので、タバコのヤニや灰などからくる汚れには特別に気を遣う必要があります。

受動喫煙によって他社員の健康が阻害される可能性がある

日本では受動喫煙によって年間約1万5千人が亡くなっているという推計も出されているなど、タバコが健康に与える影響は大きなものがあります。

オフィスを分煙しない場合は退去時に原状回復費がかかることも

タバコにはタールという成分が含まれており、この成分が原因となって部屋にヤニ汚れがついてしまったり臭いがついてしまったりします。タバコを多く吸っているとこうしたヤニ汚れが多く発生し、賃貸オフィスの場合にはオフィスを出るときに原状回復費を請求される可能性もあります。

賃貸オフィスの原状回復費とは?

そもそも原状回復費とはどういったものかご存知でしょうか?

原状回復とは、「借主が物件を借りたときと同じ状態になるようすべて元通りに復元すること」を指します。原状回復費は、その復元にかかる費用です。

オフィスの原状回復費は、基本的に借主が全額負担となるケースが多いです。一般の賃貸住宅の場合は、原状回復費を家賃の中に組み込むことができますが、賃貸オフィスでは業種によって使用状況が異なり、あらかじめ賃料の中に組み込むことができないため実費負担となります。

喫煙人口によっては賃貸オフィスでも天井、壁紙の張替が必要となる可能性があります。タバコの煙は、たとえ換気扇の真下で吸っていたとしても他の所へと流れていって、壁や天井全体にヤニ汚れとして多大なダメージをもたらします。建具やエアコンなども黄ばんでしまい、原状回復のためのヤニ清掃費用が思いの外膨らんでしまったということもよくあります。

しっかりと対策しておくことで、受動喫煙の防止だけではなく、移転時の原状回復費の削減にもつながる可能性があります。

オフィス内の分煙は「分煙キャビン」の導入がおすすめ

喫煙室がない場合、分煙をするためには工事をして部屋を作る必要があると思っている方もいるかもしれません。しかし、賃貸オフィス物件などの場合には許可なくそうした工事をすることはできません。

しかし、分煙キャビンを導入することで、建物自体の工事は不要で喫煙スペースを作ることができます。東京都内でも、すでに分煙キャビンを取り入れている会社もあります。各社の分煙キャビン製品について、特徴を見てみましょう。

マークプランニング社

SMOKE POINTの製品は、北欧生まれのおしゃれなデザインでありながら、分煙を叶えてくれます。透明ガラス張りで開放感があり、中にいる人の快適性が保たれます。約3,000本の吸い殻を収納できる灰皿が付いており、水を使わず自然に消火しますので清掃にかかる手間や時間を減らせます。

クリーンエアスカンジナビア社

キャビンソリューションも北欧生まれの製品です。特殊なフィルターにより、タバコの煙とにおいを完全に除去する技術開発に成功しています。タバコの煙をしっかりと浄化するものの、キャビンには扉が無いため、喫煙者と非喫煙者が無理なく業務上の会話をすることができます。

トルネックス社

トルネックス社の製品は、3人から4人の使用を想定したシングルタイプと、6人から8人の使用を想定したダブルタイプの2種類のサイズが選べるほか、オプションでスライドドアも取り付け可能です。タバコの煙のにおいに含まれるアンモニア、アセトアルデヒド、酢酸の除去率が95%以上と、高い除去率を誇ります。

いずれの製品も、東京都内で設置可能です。メーカーや代理店に問い合わせてみてください。

まとめ

オフィスの分煙についてご紹介しましたが、このほかにもビル自体に喫煙スペースがある賃貸オフィス物件に移転するという方法もあります。喫煙者、非喫煙者がお互い快適に過ごすことができるオフィスを目指しましょう。