従業員の働き方の工夫をしたいなら、フレックスタイム制の導入がおすすめです。とくに子育てや介護をしている従業員やテレワークと相性がいい働き方です。これから導入するか迷っている人向けに、導入のメリットとデメリットを紹介します。

フレックスタイム制とは?

フレックスタイム制は新しい働き方のため、知らない人もいるでしょう。まずは、働き方の特徴を理解しておくようにしてください。

労働者が自由に勤務時間を決められる制度

フレックスタイム制とは、労働者が自由に勤務時間を決められる働き方のことです。働く時間は一定期間で決められており、その範囲内であれば始業や終業を自由に決めても構いません。また、総勤務時間を満たしているなら、日によって働く時間が変わっても大丈夫です。

コアタイム・フレキシブルタイムに分かれる

この制では、2種類の勤務時間に分かれています。コアタイムは出社が必要な時間で、フレキシブルタイムは個人が出社するか自由に決めていい時間のことです。必ずしも両方が必要なわけではなく、会社によってすべてフレキシブルタイムにしても問題ありません。

とくにコアタイムが必要なのは、従業員同士の情報共有が求められる場合です。ミーティングや商談などで全従業員が出社する必要がある場合に、コアタイムを設けるといいでしょう。

フレックスタイム制でも残業代は支払う必要がある

この制度を導入していても、一定の労働時間を超えれば残業代を支払います。残業代の支払いが発生するのは、総労働時間を超えた場合です。ただし、総労働時間を超えない場合は、賃金から不足分を引くか、翌月に長く働く必要があるため注意が必要です。

フレックスタイム制を導入するメリット3つ

フレックスタイム制を導入するメリット3つ

従業員の働きやすさ向上や業務効率を高めるなら、制度の導入がおすすめです。ここでは、フレックスタイム制を導入するメリットを3つ紹介します。

1.ワークライフバランスがとりやすい

制度を導入すると、従業員は仕事と生活の時間配分の調節ができます。たとえば、子育て中の人が子どもの体調に合わせて勤務時間をずらしやすいでしょう。また、平日の日中しか手続きができない銀行の用事を済ますこともできます。

従業員は総勤務時間を満たせばよいため、旅行や勉強のスケジュールを調節しやすくなります。資格取得や週末の旅行のために早めに退社することが可能です。勤務時間が足りなければ、別の日に多めに働けばよく、仕事をしながらプライベートを充実させることができます。

2.自分で労働時間を管理できる

従業員によっても、作業に集中できる時間帯は異なるでしょう。午前中に仕事がはかどる人もいれば、午後から活力が湧いてくる人もいます。フレックスタイム制なら個人が自由に勤務時間を決められるため、個々が集中できる時間帯に作業ができます。

結果的に、個人が作業効率を高める工夫をするようになるでしょう。決められた時間に作業をこなす場合と比べて、トータルの作業時間が減るメリットがあります。

3.通勤ラッシュを避けられる

勤務先によっては、毎朝の通勤ラッシュが苦痛になることがあります。フレックスタイム制なら出勤時間をずらせるため、満員電車やバスを避けられるでしょう。早起きが得意な人は早くに出社して、苦手な人は遅く調節することができます。

通勤ラッシュは体力の消耗が激しいため、業務効率が落ちてしまう恐れがあるでしょう。フレックスタイム制なら業務に必要な体力を残すことができます。また、通勤に余裕があるため、勉強をするなど有効な時間の使い方がしやすいでしょう。

フレックスタイム制を導入するデメリット2つ

制度に向かない業種では、導入してもデメリットが大きくなるでしょう。無理に導入を進めないほうがいい場合もあります。ここでは、フレックスタイム制のデメリットを2つ紹介します。

1.従業員同士のコミュニケーションがとりにくい

それぞれ出社時間が異なるため、従業員同士のコミュニケーションがとりにくくなります。たとえば、新入社員の教育に支障が出るかもしれません。また、普段の業務以外の相談をしにくくなるでしょう。

コミュニケーションに問題があるときは、オンライン会議やチャットなどのツールを活用してください。また、お互いの勤務状況を確認するため、同期型のツールの導入もおすすめです。

2.取引先に影響されやすい

フレックスタイム制は自分の勤務時間は調節できますが、取引先の希望があれば合わせなければなりません。たとえば、自分が今日は早退すると決めていても、取引先がこれから話をしたいとなれば時間を確保しなければならないでしょう。

フレックスタイムの導入は個人の業務が多い業種におすすめ

フレックスタイムの導入は個人の業務が多い業種におすすめ

フレックスタイム制の導入は、個人の裁量が重要とされる業種では、相性がいいでしょう。たとえば、IT企業、マスコミ、研究職などです。業務が個人で完結する業種では、導入するメリットが得られます。

逆に向いていないのは、営業職やサービス業などです。お客様が関わる場合や、複数の人が協力するライン作業なども向いていません。

まとめ

今回は、フレックスタイム制を導入するメリット・デメリットや制度を導入すべき企業の特徴などを解説しました。

制度を導入すると、従業員の満足度が高くなり、業務効率がよくなるでしょう。しかし、実際に会社で導入するとなると、デメリットが気になるかもしれません。導入で迷っているなら、実際に導入して成功している企業の事例を参考にしてみてはどうでしょうか。