起業する際のオフィス選びに頭を悩ませていませんか?働き方が多様化している現在、オフィスのスタイルも多様化し、様々な形態のオフィスが存在しています。

今回は、これから起業を考えている人、すでに起業した人に向けて、数あるオフィスの中から最適なものを選択できるように、オフィスの形態別にそれぞれにメリットとデメリットを紹介します。

多くの選択肢の中から、あなたに合ったあなただけのスタイルが見つかり、あなたの事業がどんどん拡大していくことを願っています。

起業する際のオフィス選びは超重要

オフィス選びは、あなたの事業の成功に直接影響を与えるため、非常に重要な要素です。

ただ単に作業スペースとして存在しているのではなく、立地、デザイン、設備、コスト、アクセスなど、様々な要素が絡み合い、企業のブランドや文化を体現する場所でもあるからです。

そしてこれら要素が、業務の生産性、取引先との関係性、ビジネス拡大の可能性などに影響を与えます。つまり、最適なオフィスを選ぶことは、事業の成功や拡大への大切な土台ともいえるでしょう。

起業時のオフィス選びのポイント?

オフィスを選ぶ際、費用、立地、設備、法人登記の可否、そして自分のビジネススタイルに合った形態であるか否か、といった観点で検討する必要があります。

特に、起業したての頃は資金が限られているため、オフィスの費用は負担になります。その場合、賃貸オフィスではなく、レンタルオフィスやシェアオフィスの方が初期費用も抑えられ、短期間の契約が可能なため負担とリスクを軽減できます。

また事業を行うために、大型のプリンターや高速のネット回線などが不可欠なのであれば、最低限それらの設備が整っているオフィスを探すべきです。

このように、今の自分自身の状況を客観的に見て、オフィスを選んでいきましょう。

起業に適したオフィスの種類とその特徴

ここからは起業に適した種類をその特徴を踏まえながら、メリットとデメリットを紹介します。

賃貸オフィス・貸事務所

賃貸オフィス・貸事務所とは、ビルのオーナーや不動産会社から一定期間(通常は数年)スペースを借りる形式のオフィスです。

自社のオフィスであるため、社会的な信用度が高く、また自社ブランドを確立させやすいといえます。

賃貸オフィス・貸事務所のメリット

  • 社会的な信用度が高く、自社ブランドを確立させやすい
  • 法人化する際、登記するための住所として使用できる
  • 自由度が高く、内装を自由にカスタマイズできる
  • 作業スペース以外に、会議室や資料室、休憩室などのスペースを確保できる

自社専用のオフィスということで、法人登記に使用しやすく、かつ社会的な信用度も、他のオフィスと比べると一番高いといえるでしょう。また、広いスペースを自由にカスタマイズできるため、事業に取り組みやすいことはもちろん、従業員が増えたり、取引先の方が来られたりしても柔軟に対応することができます。

賃貸オフィス・貸事務所のデメリット

初期費用が高額
反面、デメリットとして他の形態と比べ初期費用が高額になります。家賃はもちろんですが、保証金やオフィス什器・備品の購入など、オフィスとして機能するまでにはお金と時間が必要です。

賃貸オフィスが向いている方
比較的事業の規模が大きく、従業員を複数人雇って進めていきたい方は賃貸オフィスが向いているといえます。雇われる従業員にとっても自社の事務所があるというのは、安心感につながるはずです。

自宅オフィス

自宅オフィスとは、あなたが住んでいる自宅をオフィスとして使用する形態のことを指します。自宅をオフィスとするので、特段初期費用が掛かることはなく、起業したその日から利用できる形態といっても良いでしょう。

自宅オフィスのメリット

  • 初期費用の節約、ランニングコストを抑えられる
  • 通勤時間を節約できる
  • 家事や育児と並行して仕事ができる

一番のメリットは、オフィスを借りる際の家賃や保証金などの費用が一切発生しないことでしょう。また、自宅とオフィスが同じ場所であるため、通勤時間と交通費が発生しません。
そこで費用を抑えた分、事業展開などに必要な機器やオフィス什器の購入に充てることもできますね。

また自宅で仕事をしているため、家事や育児をしながら仕事をすることが可能です。これは、育て中の方にはとても大きなメリットとなります。

自宅オフィスのデメリット

  • プライバシーの確保が難しい
  • 信用度が低い傾向にある
  • 公私の区別がつきにくい

自宅をオフィスにした場合、例えば登記して法人化する際、自宅の住所が公開されることになります。全く見知らぬ人に自宅の住所を知られてしまう可能があり、プライバシーを確保することが難しくなります。

また、自宅が賃貸住宅の場合、登記が認められていない場合が多く、融資などが受けにくいといったことも考えられます。

昨今は、テレワークが当たり前になり、自宅で仕事をされている会社勤めの方も多いかと思いますが、自宅で働いていると「オフィスに行って仕事をする」「自宅に帰って休む」という切り替えが曖昧になり、人によっては集中力が保てず、生産性が落ちてしまうかもしれません。

自宅オフィスが向いている方

フリーランスのデザイナーやライターなどは、パソコン一台あればどこでも仕事ができるので、自宅オフィスが向いているといえます。また、長時間一人で集中して作業に取り組みたい方も自宅オフィスが適しています。

しかし、自宅には様々な誘惑があるので、その誘惑を跳ねのける意思は必要といえるでしょう。

レンタルオフィス

レンタルオフィスとは、ビルなどのフロアを区切った個別空間をオフィススペースとして借りる形式です。起業に必要なものが最低限あらかじめ揃っているので、初期費用は賃貸オフィスよりもかなり抑えることができます。

レンタルオフィスのメリット

  • 初期費用が抑えられる
  • 事業に必要な最低限の設備がそろっている
  • 登記の住所として使える
  • プライバシーが確保されている

賃貸オフィスに比べると、初期費用はかなり抑えられます。家賃はもちろんですが、オフィスとして運営していくための必要最低限な環境が整っていることが大きいでしょう。また、アクセスが良い場所でサービスが展開されていることが多いのもメリットです。

レンタルオフィスのデメリット

  • 広いスペースを確保できない
  • 1坪当たりの家賃は高額

初期費用は抑えられますが、1坪当たりの家賃で考えるとかなり高額です。広いスペースを必要とする事業であれば、別の形態のオフィスを探した方が良いかもしれません。

レンタルオフィスが向いている方

最初から設備が整ったオフィスを、費用を抑えて借りることができるので、スタートアップ企業や中小企業の方、フリーランスの方に向いているといえます。

シェアオフィス

シェアオフィスとは、複数の企業や個人が同じオフィス空間をシェアする形態のことを指します。レンタルオフィスとよく似ていますが、レンタルオフィスは区切られた個別スペースです。対して、シェアオフィスはオープンなスペースをフリーアドレスのように自由に利用します。

シェアオフィスのメリット

  • 初期費用を抑えられる
  • 人脈を広げるチャンスがある
  • 好立地の場所が多い

シェアオフィスも、レンタルオフィスと同様に初期費用を抑えることができます。加えてシェアオフィスはフリーアドレス形式ですので、座席一つを複数人の利用者でシェアしていることになり、レンタルオフィスに比べると1坪当たりの家賃はかなり安いといえます。

また、様々な会社の方が一つのフロアに集まって仕事をしているので、通常の賃貸オフィスやレンタルオフィスと比較しても、交流が生まれやすい環境とえます。

シェアオフィスのデメリット

  • プライバシーの確保が難しい
  • 環境音が大きい

交流が生まれやすいオープンな環境であるということは、プライバシーの確保やセキュリティの確保が難しいということです。特に機密情報を扱う事業の場合は、他の方が簡単にPCモニタを見られたり、電話の内容が聞かれたりしてしまう状況が生まれやすいので注意が必要です。加えて、無線LANはそのフロア共有ものなので、ネットワークセキュリティが気になる方にもあまりお勧めはできません。

シェアオフィスが向いている方

コミュニケーションを取ることが好きな方、新しいアイデアを常に模索している方などは、この交流が生まれやすいシェアオフィスが向いているといえます。とにかく何か刺激が欲しい方は、シェアオフィスの利用を検討してみてください。

バーチャルオフィス

バーチャルオフィスとは、物理的なオフィススペースを持たずに、住所や電話・FAX番号などをレンタルすることができるオフィス形態を指します。

バーチャルオフィスのメリット

  • 低コスト
  • 一等地の住所を取得可能

一番のメリットは、なんといってもコストです。月額数千円程で、しかも都心部の一等地の住所を借りることができます。加えて、自宅オフィスのメリットと同じく、通勤の費用と時間を抑えられます。

バーチャルオフィスのデメリット

  • 物理的なスペースがない
  • 社会的な信用度が低い
  • 公私の区別がつきにくい

あくまで、借りるのは住所のため、物理的な執務スペースなどはありません。自宅やコワーキングスペースで実務をこなす必要があります。また、一等地の住所を借りることができるとはいえ、オフィスが実在しないため、社会的な信用度が高いとは言えません。

加えて、こちらも自宅オフィスと同様なのですが、実際にオフィスが存在しない以上、こちらも公私の境界が曖昧になり、生産性が下がってしまう可能性もあります。

バーチャルオフィスが向いている方

広いスペースを必要とせず、パソコンがあれば仕事ができる方、いろいろな場所を転々としながらフレキシブルに働きたい方は、バーチャルオフィスがお勧めといえます。

オフィス選び4つの注意点

ここまで様々な形態のオフィスを、メリット・デメリットと共に紹介してきました。あなた自身が希望する働き方と、あなた自身の事業に適したオフィス形態がわってきたと思いますが、ここでオフィスを選ぶ際に注意してほしい点をお伝えさせていただきます。

予算超過

起業したばかりで売上が安定しない時期などは、固定費の高さが大きな負担になります。
オフィスの家賃もそうです。売上の希望的観測だけで、高額な家賃を支払っていると、当然財務状況に影響を及ぼします。

不適切な立地

オフィスを構える場所を決める際は、取引先のクライアントや従業員のアクセスしやすい場所が望ましいです。会社に関係する方々のアクセスが悪い場所であれば、事業の運営に支障をきたす可能性があります。

不十分な設備

事業を進めるにあたり、最低限必要な設備やあると便利な設備などは洗い出しておきましょう。何も考えずにオフィスを決めてしまうと、設備が不十分で作業効率が下がる、さらには仕事がまともにできないという事態に陥る可能性もあります。

将来の展望

将来的に今の事業・会社を拡大するのか否かを見越して、オフィスを選択するようにしましょう。

その上で、ずっと今のオフィスで事業を行うのか、数年後に移転を予定しているのか、どちらにせよあらかじめ、ある程度将来の道筋を描いてから動き出した方が良いでしょう。

まとめ

起業を考える際、オフィス選びはとても重要な要素です。あなた自身の希望する働き方や、事業内容をしっかり踏まえた上で選びましょう。

今回紹介した賃貸オフィス、自宅オフィス、レンタルオフィス、シェアオフィス、バーチャルオフィスは、それぞれがメリットとデメリットを持っています。

選択肢は多いですが、慌てることなく、それぞれのオフィスの特徴を理解した上で、オフィスを選択しましょう。