経営者にとって見逃せないのが、会社運営におけるランニングコストです。見直してみると大きな費用がかかっていることもあるため注意しましょう。

そこで今回は、会社運営でかかるコストの種類やコストの削減方法を紹介します。

会社運営にかかるランニングコストの種類

会社は設立時にも一定の費用がかかりますが、会社を維持するためのコストもあります。コストが気になる人は、まずどんな費用がかかるのか知っておきましょう。

毎月のオフィスの家賃

自宅以外をオフィスにする場合は、賃貸物件を利用するのが一般的です。毎月の家賃は数万円のところもありますが、規模によっては毎月数十万円の費用がかかります。また、賃貸物件を利用するなら、家賃以外にも不定期で発生する更新料なども考慮しておいてください。

水道光熱費

賃貸物件では、借りた人が水道光熱費を負担するのが一般的です。パソコンなどOA機器を複数利用する場合では、毎月の電気代が高くなることがあります。

インターネットなどの通信費

会社でパソコンを使用するときは、インターネット費用がかかります。物件によっては光ファイバーやCATVなどに対応しているでしょう。また、電話を使うときは、電話回線使用料も必要です。

広告宣伝費

新しい会社は認知されていないため、自社の商品やサービスをアピールしなければなりません。営業マンがいるなら必要ないこともありますが、幅広い地域に対応させるならネットや新聞などの広告費がかかります。

給与や社会保険

当然ですが、従業員を雇うと毎月給与の支払いが発生します。また、株式会社や合同会社などの法人は従業員の社会保険の加入が必須のため、その分の費用もかかります。なお、社会保険の種類は、健康保険・雇用保険・厚生年金・労災保険・介護保険の5つです。

税理士への報酬費用

会社を設立したら、税務処理を税理士に任せることが多いでしょう。税理士への報酬金額は、年間数十万円程度です。費用は毎月の帳簿付けだけのプランや、確定申告を含めたプランなどが選べます。

法人住民税

会社を設立したら、法人住民税がかかります。法人住民税は売上がなくても発生するため注意してください。資本金1,000万円以下で従業員数が50人以下なら約7万円、1,000万円超は従業員数が50人以下で約18万円の負担です。

株主総会の開催費用(株式会社のみ)

株主が複数いる株式会社は、決算期末から3カ月以内に株主総会を開催しなければなりません。株主総会の開催には、会場費用・弁当代・お茶代・懇親会費用、手土産代などの費用がかかります。

決算公告の費用(株式会社のみ)

株式会社は定時株主総会後に、株主や債権者に対し決算公告を行うことを会社法440条により定められています。決算公告の方法は「新聞掲載」、「官報公告」、「電子公告」の3種類があり、それぞれ費用がかかります。

役員の就任・重任登記の費用(株式会社のみ)

役員の就任や、元役員が再就任(重任)する場合には、役員変更登記のための登記費用がかかります。

必要な費用は登録免許税で1件あたり、会社の資本金が1億円までは1万円、1億円を超える場合は3万円かかります。なお、登記申請は司法書士か弁護士しか行えないため、別途依頼費用もかかります。

会社運営のランニングコストを下げる方法

会社運営のランニングコストを下げる方法

会社運営のランニングコストが気になるなら、できるところから費用を削減してみましょう。毎月かかる費用を削減できれば、年間の負担が軽くなります。

家賃が低いオフィスに引っ越す

会社の規模に合わないオフィスを借りているなら、引っ越しを考えましょう。エリアを変える、部屋の広さを変えるだけでも、随分と費用を節約できるものです。また、従業員が少ないなら、シェアオフィスなどを借りる方法もあります。

スタッフの日頃の業務は在宅を選び、会議や打ち合わせ時のみ借りられるスペースがあるとコストダウンが可能です。

水道光熱費を節約する

スタッフの在宅勤務やシェアオフィスを活用する方法で、水道光熱費の削減ができます。また、窓が大きく明るいオフィスなら、日中に電気をつける必要がなく、電気代節約になるでしょう。オフィス物件を見直すだけでも、水道光熱費が節約できる場合があります。

確定申告を自分で行う

毎月かかる税理士への報酬費用は、自分で帳簿付けや確定申告をすることで削減できます。会計ソフトやクラウドサービスなどを利用すれば、手軽に入力ができるでしょう。税金の知識が必要なときだけ税理士に相談すれば、ランニングコストが下がります。

自社のホームページを社内で作成する

ネットや新聞などの広告を使っていると、長期的にランニングコストが発生します。それよりも自社ホームページを立ち上げて、集客の費用を減らしましょう。

簡単にホームページが作成できて、デザインも選べるサービスもあるので、知識がない人でも作成は可能です。

運営タイプ別のランニングコストの違い

運営タイプ別のランニングコストの違い

会社のランニングコストは、会社運営方法によっても異なります。個人事業主のままでいるべきか、法人化するのかで迷ったら、コストを比較してみてはどうでしょうか。

株式会社

法人化すれば、従業員の社会保険と法人住民税がかかります。また、株式会社は決算公告義務があるため、その費用として6万円が必要です。その他、定款の書き換え費用として1万円の費用もかかります。

合同会社

合同会社も法人に含まれるため、従業員の社会保険と法人住民税がかかります。ただし、決算公告義務はなく、役員任期がないためそれぞれの費用はかかりません。

個人事業主

個人事業主で従業員が4人までなら、社会保険の加入義務がありません。従業員は自分で国民健康保険や国民年金に加入するため、会社負担額はありません。

また、法人ではないため、法人住民税がかかりません。しかし、利益が出ればその分の所得税や住民税はかかります。ただ、利益が出なくてもかかる法人住民税とは違うため、会社運営状態によっては個人事業主がお得です。

まとめ

会社運営では毎月のランニングコストが気になるでしょう。かかった費用は経費として計上可能ではありますが、費用は少ない方が会社の利益が出やすいため、コスト削減がおすすめです。紹介した方法を参考にしながら、費用を少なくしてみてください。