「オフィスで火を使うことがない場合でも火災保険は必要なのか」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

火災保険を削ってしまうと大きな損害が生じた時に、ビルオーナー様への賠償金やオフィスの修復代が会社の預貯金で賄えないかもしれません。

本記事では、火災保険加入の必要性や最低限必要な補償について解説していきます。火災保険加入を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

1.賃貸オフィスの火災保険の補償は必要?

オフィスで火を使う機会が少ないため、火災保険は不要と考える方もいらっしゃるでしょう。しかし、自社のオフィスが火元になった場合、ビルオーナー様や他のテナントに多額の賠償責任が生じるかもしれません。

損害賠償やオフィスの修復代は、オフィスビルの規模や立地により数千万円から数億円に上ることもあるため、会社の預貯金で賄うのは難しい可能性があります。

また、別のテナントが火元だったとしても過失がないと認められた場合、被害を自ら負担しなければならない可能性もあります。そのため、火災保険に加入しておくことで、万が一の際にも備えられます。

2.賃貸オフィスの火災保険に入ることで防げるリスク

火災保険に入らなければ、さまざまなトラブルを招く可能性があるでしょう。賃貸オフィスの火災保険に入ることで防げるリスクには何があるのか、以下で具体的にご紹介します。

2-1.オフィスや設備が破損するリスク

オフィス向けの火災保険では、建物と設備の修理費を補償できます。また、火災だけでなく、以下の災害・事故による損害も補償の対象となります。

災害どのような場合
落雷落雷により建物や設備に損害が生じる
爆発ガス漏れによる爆発
雪災・雹災・風災・台風 ・旋回 ・竜巻 ・暴風 ・雹災 ・雪崩
物体の落下・衝突・オフィス外部から物体が落下 ・衝突した場合
水漏れ・給排水設備の事故 ・漏水での損害
騒動や暴力行為騒動や集団行為による暴力行為(労働争議)で損害が生じた場合
盗難盗難による損害
水災台風や暴風雨による洪水や土砂崩れ
破損・汚損予期しない突発的な事故による損害

上記で挙げた災害や事故は自分で起こさないように気を付けていても、いつ起きるかわかりません。そのため、火災保険に加入しておくことは、万が一の際に備えるために重要です。

気をつけておきたい点は、地震による火災です。地震による火災は半日以上経過した後でも延焼に巻き込まれ、大規模な範囲に広がりやすくなります。そのため、火災保険では全額補償されないかもしれません。

気になる方は、どのくらい補償されるのか保険会社に確認しましょう。

2-2.休業になった場合のリスク

火災や盗難などの災害や事故でオフィスが利用できなくなると、営業を休業せざるを得ないことがあります。休業期間中は売上が減少し、利益を損失するでしょう。

オフィス向け火災保険で休業損失補償特約を付帯すると、休業期間中の粗利を補償してもらえます。粗利とは売上から仕入れなどの費用を差し引いた利益のことです。

休業損失補償特約は、住宅物件向けの火災保険にはない補償です。そのため、オフィスを使用している場合は、検討しておきましょう。

2-3.その他の防げるリスク

オフィス向けの火災保険では建物や設備の損害だけでなく、データ損失などのリスクも補償するデータ損害補償特約が付帯できます。

オフィスでは以下のさまざまなデータが扱われています。

  • 顧客情報
  • 取引先情報
  • 営業資料
  • 社員名簿
  • 財政関係の書類

データが失われてしまうと業務に大きな支障をきたし、多額の損害を被る可能性があります。そのため、データ損害補償特約を検討しても良いでしょう。

3.賃貸オフィスで最低限必要な火災保険の補償3つ

最低限必要と言われる火災保険は大きく分けて3つあります。それぞれどんな特徴があるか以下で解説していきます。

3-1.借家人賠償責任保険

自社が原因で賃貸オフィスに損害が生じた場合、オフィスのオーナー様に対して法律上の賠償責任を補償してくれる保険です。

賃貸オフィスは、個人の住宅に比べて規模が大きいため、建物の修復に高額な修繕費がかかります。もし、借家人賠償責任保険に加入していれば、填補限度額分まで保険金が下ります。そのため、事業者は安心して賃貸オフィスを借りられるでしょう。

填補限度額とは、保険会社が支払う保険金の上限額です。オフィスの規模や立地により、高額な修繕費がかかる場合もあるため、十分な填補限度額を設定しておきましょう。

3-2.個人賠償責任保険

個人賠償責任保険は、借家人賠償責任保険で補償されない日常生活で起こるトラブルにより、他者に与えた損害を補償する保険です。

具体的には以下のケースが考えられます。

  • オフィス内での火災により、他テナント方に怪我をさせてしまった場合
  • 他テナントの設備に損害を与えた場合
  • オフィス内での転倒や事故により、来訪者にケガを負わせた場合

個人賠償責任保険に加入していれば法律上の賠償責任を負うことになった場合に、保険金で損害を補償できます。

3-3.家財保険

家財保険は、オフィス内の家財の損害を補償する保険です。賃貸オフィスは個人宅と異なり、パソコンやコピー機などの高額な精密機械類を多く使用しています。そのため、家財が損害を受けた場合、損害額が大きくなります。

経費削減のために保険料を安くしたいと考える賃借人様もいるかもしれませんが、万が一の家財の損害に備えるために、家財保険は必ず加入しておきましょう。

また、レンタルやリース品は補償の対象にならないことが多いため、保険会社に確認しておきましょう。

4.賃貸オフィスの火災保険はいくら?

火災保険は、不動産会社やビルオーナーから提示されるものに加入することが一般的です。どのくらいの費用が必要か以下で説明します。

4-1.金額は企業により異なる

オフィスビルに入居している企業の場合、フロア面積が大きいほど保険料が高くなります。

また、補償内容も企業により必要なものやそうでないものがあるため、保険料は変動します。したがって、賃貸オフィスでの火災保険加入を検討する際は、補償内容をよく把握して、過不足のないものを選びましょう。

4-2.補償額の把握が重要

賃貸オフィスの火災保険に加入する際は、万が一の際に必要となる以下の補償額を把握しておくことが重要です。

  • オフィス内の家具・什器類
  • 他の入居テナントへの損害賠償
  • 休業中の利益
  • ビルのオーナー様への損害賠償

大体の補償額を把握した後に複数の保険会社や商品を比較して、自分に合ったものを選びましょう。保険会社や商品により異なるため、比較するとより自社に合ったものが見つかります。

5.大切なオフィスを守るために火災保険に加入しよう

賃貸オフィスを借りる際は、火災保険への加入が義務付けられていることがほとんどです。火災保険は、万が一の際に大切なオフィスを守ってくれる重要な保険です。

また、最低限必要な補償だけでなく、オフィス向けに休業損失補償特約やデータ損害補償特約なども検討してみてください。