企業の円滑な運営を支える総務は、オフィス移転の際にも活躍します。総合的な管理を担っている部署とはいえ、慣れない作業においては総務部側としても戸惑うシーンがあるのではないでしょうか。

オフィス移転は大規模なプロジェクトであり、企業全体のサポートを適切に行なう必要があります。タスク漏れや手続きの誤りがないか確認しつつ、着実に作業を進めることが重要です。

この記事では、オフィス移転における総務の役割やタスクを紹介します。企業の総務担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

オフィス移転で総務が担う役割とは?

企業の円滑な運営に総務の存在は不可欠です。そのため、日頃から企業を支える重要な役割を果たしています。

オフィス移転という大きなプロジェクトにおいては、多くのタスクを遂行するのが総務の役割です。実際には社内全体が動くことになりますが、総務が全体的な管理を担当することで、業務や従業員への影響を最小限に抑えられるでしょう。

このように、総務は他部署のタスクを管理するだけでなく、総務自身が担当するタスクも並行してこなさなければなりません。そのため、プロジェクト管理と実務それぞれの役割を担うことになります。

オフィス移転で総務が行なうタスクを確認しよう

オフィス移転で総務が行なうタスクを確認しよう

オフィスを移転する際は、まずはどのようなタスクをこなさなければならないのかを理解しておくことが大切です。ここでは、移転が決定した際に総務が行なうタスクを紹介します。

全体スケジュールの把握・社内マニュアル作成

オフィス移転が決定した場合は、まず全体スケジュールを把握することから始めます。全体スケジュールを把握することで、行なうべきタスクを整理できるためです。タスクを整理する際は、優先度の高さや実施するタイミングなども考慮することが大切です。

また、社内マニュアルを作成し、すべての従業員に概要を伝えます。記載する内容としては、移転する目的や役割の分担に関すること、社外への対応、スケジュールなどが挙げられるでしょう。また、タスクが滞らないように、窓口を伝えておくことも大切です。

原状回復の手配

まずは不動産業者や管理会社に対し、解約予告を行ないましょう。賃貸オフィスの場合、3ヵ月~6ヵ月前に伝えるのが一般的ですが、契約内容によって異なることに注意が必要です。

原状回復工事を行なう際は、物件の契約先に指定業者がいるのかを確認します。さらに、工期や見積り、工事範囲など、退去に向けての手続きも進めましょう。なお、指定業者が存在しない場合は、複数の業者に見積りを取るなど、業者選定も行なわなければなりません。

新オフィスのレイアウト作成や工事の手配

移転後の業務に支障をきたさないように、新オフィスの業務環境を整えて準備しておく必要があります。部署によって快適に業務を行なえる環境は異なるため、必要なスペースや適切なレイアウトを部署ごとに確認し、工事を手配することが重要です。

また、駐車場の利用方法や入退館のルールなどに変更が生じるケースもあります。社内全体に周知できていなければ、トラブルに発展する可能性も考えられます。そのため、新オフィスの社内ルールを周知することも、総務が行なうべき重要なタスクの一つです。

移転先で必要になる備品の確保

移転した日から通常業務を行なうためには、必要な備品を事前に用意しておく必要があります。例えば、新オフィス用の入館ID、新しい名刺、ゴム印や封筒なども用意しなければなりません。

ほかにも、パソコンや電話など、業務に必要なOA機器もすぐに利用できるように準備しておきます。企業によっては、移転を機に新規購入する、あるいはリースに切り替えるなど、今後の利用方針に変更が生じるケースも予想されるでしょう。

関係先への連絡

オフィスの移転が決定したら、取引先など関係各所に挨拶状を送付する準備を行ないます。新オフィスの住所や電話番号、FAX番号などを記載し、移転の2ヵ月~3ヵ月前にはお知らせしましょう。なお、送付先が重複しないように、主要取引先リストを作成したり、共有体制を整えたりすることが大切です。

また、Webサイトに記載している情報も変更しなければなりません。その際は、変更内容や実施するタイミングなども検討する必要があります。

移転にともなう各種手続き

移転後すぐに業務を行なうためには、社内インフラを移転日までに整えておく必要があります。手続き漏れを防ぐためにも、水道や電気などは、まとめて手続きを済ませておくと安心です。

通信インフラにおいては、正常に稼働するのか確認する必要があるため、業者に立ち会いを依頼するとよいでしょう。

また、一般的な住居の移転とは異なり、オフィス移転では行政関係の手続きが多いものです。具体的には、税務、登記、労働保険、社会保険に関連する手続きを行なう必要があります。

手続きごとに届け出を行なうタイミングが異なるため、移転前後どちらに行なうのか念入りに確認しましょう。

オフィス移転を成功させるためのポイント

オフィス移転を成功させるためのポイント

オフィス移転における総務のタスクは、多岐にわたることをご理解いただけたでしょう。ここでは、すべてのタスクを無事に遂行するためのポイントを紹介するので、移転前に確認しておきましょう。

業者の選定や依頼は早めに取りかかる

引越し業者や不用品回収業者、工事業者など、移転に際しては、多くの業者とかかわります。さまざまな事情によって、予定どおりに進まない可能性もあるでしょう。そのため、オフィスの解約日から逆算し、余裕のあるスケジュールを組むことが大切です。

また、相見積りを取ったり商談したりと、業者を選定するために要する時間は想像以上かもしれません。予算内で自社の要望をかなえてくれる業者を見つけるためにも、業者選定や依頼は早めに取りかかることが重要です。

各部署から代表者を選びオフィス移転のプロジェクトチームを作る

オフィス移転における作業は、複数のメンバーで話し合いながら一つの大きなプロジェクトを遂行する重要なものです。各部門の要望を反映し、かつ移転方針に沿って進める必要があるため、作業内容に応じたメンバーを選定するのが重要といえるでしょう。

総務は各部署が行なうべきタスクを把握しておく必要があるため、少なくとも各部署から1人プロジェクトメンバーとして参加してもらうのが理想です。また、重要なタスクにおいては複数の担当者を設定するなど、ダブルチェック体制を整えておくとよいでしょう。

タスク管理表などを社内で共有する

前述したように、社内マニュアルを作成するため、タスク管理表などを用意する必要性は低いと考える人もいるでしょう。

しかし、社内マニュアルだけでは、タスクの抜け漏れを詳細に確認するのは難しいため、詳細なタスクを社内で共有することが重要です。

タスクを適切に管理する方法としては、洗い出したすべてのタスクに期日を設定するのが効果的です。完了したタスクにはチェックを入れるなどして、総タスクを可視化しておくとよいでしょう。

オフィス移転専門の業者への依頼も検討する

総務の担当者は、ほかのタスクと並行しながら正しく手続きし、通常業務もこなさなければなりません。そのため、担当者にとって負担のかかるタスクといえます。

すべてのタスクを無事に遂行したい場合は、オフィス移転の専門業者に依頼することも検討してみましょう。専門業者を利用することで、タスクの窓口を減らし効率的なプロジェクトの遂行を実現できます。また、お得なサービスを提供している業者もあるため、自社に適したサービスがあれば利用を検討してみましょう。

まとめ

オフィス移転において、総務は抜け漏れなく適切にタスクを遂行しなければならないことがわかりました。移転前だけでなく、移転後の業務環境を整えることも遂行すべき役割の一つです。

移転プロジェクトを成功させるためには、スケジュールに余裕をもって取りかかることや、各部署の代表者を選んでプロジェクトチームを作るのが有効です。なお、移転における各種手続きは、移転前に行なうものと移転後に行なうものがあるため、ミスのないように注意しましょう。

タスク遂行に不安を感じる場合は、移転専門の業者に相談してみてはいかがでしょうか。総務の負担を軽減し、すべての従業員にとって満足度の高いプロジェクト成功を目指しましょう。