オフィス移転は大きなイベントです。移転先や契約内容、従業員の人数などによって変わってきますが、それ相応の費用が必要であり、どのように費用を見積もるべきか悩まれている担当者の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、オフィス移転にかかる費用の内訳と、費用を節約するためのポイントを紹介しています。ぜひ参考にした上で、詳細な見積もりを出して、オフィス移転の成功に繋げてください。

オフィス移転の際にかかる費用の一覧

オフィス移転の際にかかる費用を、以下の4種類に分けて説明していきます。

  1. オフィス契約初期費用
  2. 現オフィス退去関連費用
  3. 移転作業関連費用
  4. その他の費用

オフィス契約初期費用

新しいオフィスを契約する際の初期費用をまとめました。詳細な費用は契約内容によって異なるので、条件などはあらかじめしっかりと確認してください。

敷金

家賃の滞納や退去する際の原状回復工事に備えた預け金です。
規模の大きいオフィスでは家賃6~12ヵ月、規模の小さいオフィスでは家賃4~6ヵ月を目安にしてください。※坪数で金額を決める場合もあります。

礼金

オフィスのオーナーに、お礼的な意味合いで支払うお金です。規模の大きいオフィスでは礼金がない場合もありますが、おおよそ家賃の1~2ヵ月分を目安にしてください。

仲介手数料

オフィス探しを依頼した不動産業者に支払う手数料です。家賃の1ヵ月が目安です。

火災保険料

不動産業者やオーナーから指定された火災保険に加入することがほとんどです。2年契約で2万円程が目安です。

前家賃

移転先オフィスに入居する際、契約月の家賃と翌月の家賃2ヵ月分を支払うことがほとんどです。

保証会社加入料

家賃の滞納が発生した際、家賃を立て替えることによって、滞納保証をしてくれる会社です。利用する際は、契約時に家賃(共益費、管理費含む)の1ヵ月分を支払います。それ以降は毎年2~4万円ほどの費用が発生します。

現オフィス退去関連費用

現在契約しているオフィスにかかる費用をまとめました。

現オフィスの賃料

当然ながら、現オフィスの契約解除日までは賃料を支払う必要があります。移転完了後も、旧オフィスの賃料を支払うことにならないように、あらかじめ契約書をしっかりとチェックした上で、移転のスケジュールを立て進めましょう。

原状回復費用

現オフィスを退去する前に、オフィスを入居時の状態まで戻す原状回復工事を行う必要があります。1坪あたり3~5万円程度が目安となりますが、オフィスの利用状況によって大きく変わります。詳細な金額を出すために、複数の専門業者に相談し、しっかりと相見積もりを取ってください。

移転作業関連費用

引っ越しや退去・移転時にかかる工事費用をまとめました。

引っ越し代

引っ越しは従業員一人につき、おおよそ3万円で計算します。
従業員が50人いれば、150万、100人いれば300万といった具合です。
さらに引っ越しの際に出る不用品や廃棄物の処理費が1.5トン車で6~7万円、4トン車で15万円程度が目安です。

ネットワーク工事費用

ネットワーク機器や電話機・複合機などの設置にかかる費用の目安は、1坪10万円程です。
また、LANや電話、電気の工事には、従業員1人あたり5万円程が目安です。

什器購入費用

什器類については、まず新規調達が必要なのか、以前使っていたものをそのまま流用できるのか、慎重に検討してください。

それによってかかる費用は大きく変わりますが、目安としては1人あたり5~30万円です。

内装工事費

内装の工事費は、おおよそ1坪あたり10万円が目安となります。しかし、デザイン性や機能性にこだわると、その分費用も大きくなりますし、もちろん工事を依頼する専門業者によっても変わってくるので、依頼する際は相見積りを取りましょう。

その他の費用

ここで挙げた項目以外にも、オフィス移転する際には様々な費用が発生します。

例えば

  • 新オフィスの住所を記載した名刺やパンフレットなど、各種印刷物の作成費用
  • 税務署や法務局などへ提出する届け出書類の作成費用

などです。

オフィス移転はやらなければならないことが膨大にあり、かつ具体的な額は、移転するオフィスの規模や移転先の条件、移転に際して依頼する専門業者の選択などによって大きく変わります。

あらかじめ予算を組む際は、想定外の出費があることを見込として加味しておきましょう。

オフィス移転に際しての注意点

ここではオフィス移転を計画する際の注意点を説明します。

事前の準備と綿密なオフィス移転計画が必要

オフィス移転は大きなイベントです。しかしオフィス移転を経験したことがある方は少ないでしょう。だからこそ、事前に綿密な移転計画をしっかりと立てておくことが重要です。移転の一年前から計画を立て始めても早すぎるということはありません。

担当者が単独で行うことは非常に困難ですので、社内でプロジェクトチームを作り、まずは社内ヒアリングを行いながら、移転の目的を明確にするところから始めましょう。

その上で、契約周りや移転先のオフィスなどを精査しつつ、かかる費用を算出し、予算を組んでいきましょう。

移転後への準備が重要

オフィスが変わるということは、職場環境が一気に変わるということです。

移転後に起きる混乱を最小限にするためにも、あらかじめ全従業員と移転の目的や意図を共有しておくことが必要です。また事前にオフィス移転後にやらなければならないことや、オフィスレイアウトがわかるようなマニュアルを作成し、しっかりと認識をすり合わせておきましょう。

オフィス移転のリスクを最小限に

オフィス移転は多くの要素を含む複雑なプロジェクトで、様々なリスクをはらんでいます。

詳細な見積もりを取らないと、予想以上にコストが増加する可能性があります。

また十分な準備がなければ、移転期間中に通常業務を中断せざるを得なくなり、売上の損失が発生する可能性もあります。

さらに、従業員が移転について十分に理解していないと、混乱や生産性の低下が発生することもあります。これらのリスクを最小限に抑えるためには、事前の準備と綿密な計画に、詳細な見積もり、そして従業員との十分なコミュニケーションが必要不可欠です。

オフィス移転の費用を節約する方法

オフィス移転には莫大な費用がかかります。ここからはその費用を可能な限り抑えるためのポイントをご紹介します。

必ず相見積もりを取る

現オフィスの原状回復工事はもちろん、引っ越し作業や、移転先オフィスの什器やネットワーク機器の設置なども専門の業者に依頼することになるでしょう。

そして、依頼内容が同じでも、業者によってかかる金額とそのサービス内容は異なります。ですので、依頼内容を早めに複数の専門業者に伝え、相見積もりとサービス内容を検討しましょう。

ただし、現オフィスの原状回復などは、ビルによってはあらかじめ業者が指定されている場合がありますので、事前の確認を忘れないようにしましょう。

什器や備品の再利用

現オフィスの什器や備品を再利用することも、費用節約に効果的です。移転計画の中で、新調しなければならない什器や備品と、このまま移転先でも流用できる什器や備品に分けておきましょう。

新調する必要があるものも、新品である必要があるのか、中古品でも問題ないのか検討して、費用を少しでも節約しましょう。

リサイクルや買取りを活用

必要のない什器や備品は廃棄する必要があります。しかし、当然ながら廃棄することにも費用が掛かります。しかし、不用品回収業者に買取りを依頼すれば、その什器や備品の種類・状態にはよりますが、有償で買い取ってもらえる場合もあります。
不用品は積極的に買取りの見積をお願いしましょう。

まとめ

オフィス移転はやらなければならないことが多岐にわたり、それに伴い莫大な費用がかかります。そんなオフィス移転を成功させるためには、綿密な計画と、細かな見積りが重要な要素となります。