オフィス移転は、とても大きなイベントで多くの準備を計画的にこなしていく必要があります。特に、引越しが近づくと、どうしても計画にずれが生じてバタバタしてしまうでしょう。
そんな中で意外に見落とされがちなのが荷造りです。「荷造りは後でいいや!」と他のことを優先してしまい、引越し当日まで手が付けられなかったということも往々にしてあります。

そうなると通常業務に支障が出てしまいますよね。それを防ぐためにも、今回は初心者でも簡単に取り組める、スムーズかつコストを最小限に抑える荷造りのコツをお伝えします。

梱包資材の準備・確保

荷造りにおいて、なんといっても重要なのは梱包資材です。会社や個人の大切な荷物を安全に運ぶためには梱包資材で適切に荷物を梱包しなければなりません。

また梱包資材は事前に準備しておかなければ、荷造り当日になって手に入らなかったり、足りなくなったりということが起きます。

梱包資材は運び出す荷物の量に合わせて、あらかじめ準備をしておいてください。そして通常業務に支障が出ない範囲で、日ごろから少しずつ進められるようにしておきましょう。

主な梱包資材

ここでは、主な梱包資材の用途をご紹介します。

ダンボール箱

ダンボール箱

最もメジャーな梱包資材である段ボールは、荷物を詰めて収納することができます。

緩衝性と保持性に優れているだけでなく、中空構造になっているため、ある程度保温・保冷することも可能な梱包資材です。

荷物の種類に応じて使い分けられるよう、大小さまざまなサイズのものを用意しておきましょう。引越し業者に依頼する場合は、無料で段ボールをもらうことも可能です。

クラフトテープ

クラフトテープ

紙製のガムテープです。簡単に手で切ることができ、粘着力も高いので、段ボールの組み立てに利用します。布製のガムテープを使う方もいらっしゃると思いますが、一概にどちらが適しているとはいえません。布製の方が耐久性は高いですが、コストを抑えられるのは紙製です。状況に応じて使い分けるのが良いでしょう。

養生テープ

養生テープ

養生テープは、耐水性、対候性に優れており、手で簡単に切ることができます。一方、粘着力はそれほど高くないので、一度貼ってもはがしやすく、はがした後が残りにくいテープです。

段ボールの組み立てには使えませんが、運搬中にデスクの引き出しが開いたりしないよう固定するために使えます。

エアーキャップ

エアーキャップ

いわゆるプチプチと呼ばれるクッション材です。衝撃に弱い精密機器やワレモノなどはプチプチで包むようにしてください。

新聞紙・タオル

新聞紙・タオル

プチプチでは心もとない場合や、プチプチが不足している場合は、新聞紙やタオルも緩衝材として使用することが可能です。

ラベルシール

ラベルシール

梱包した箱の中身に何が入っているのか、この荷物はどこに運ぶのか、廃棄するのか、など荷造りをスムーズに進めるためには必須のアイテムです。
同じような見た目の荷物が増えてしまう荷造りでは、ラベルシールをしっかりと活用しましょう。

荷造りリストの作成

適切な量の梱包資材を用意するためには、荷造りのリストを作成しておくとよいでしょう。

最終的に荷造りを行いながら梱包資材の量は調整しますが、最初にどの程度の量の荷物があり、何を荷造りするかがある程度わかっていれば、スムーズに荷造りを進めることが可能です。

加えてリストがあることで、社員の誰が何の荷造りをするのか、役割分担がしやすくなります。また、今どこまで進んでいるのか全体の進捗管理もできます。

オフィスの規模が大きければ大きいほど、荷造りの工数も増えてきます。かならず、社員全体で、取り組めるように準備しておきましょう。

荷造りのコツ

ここからは荷造りのコツを紹介します。細かいことですが、スムーズな荷造りのため、ぜひ参考にしてください。

ダンボール箱の組み立て方

荷造りのメイン梱包資材である段ボール。優れた資材ではありますが、使い方を誤れば、事故や荷物の破損に繋がります。

重いものを入れれば入れるほど、段ボールの底は抜けやすくなります。段ボールを組み立てる際は、必ず底にガムテープを張りましょう。

よく「クロス組み」や「クロス編み」といわれる組み立て方を見かけますが、この組み立て方では底が抜けやすくなります。

基本的には下記の組み立て方を実施してください。

  1. フタの短い方を折る
  2. フタの長い方を折る
  3. フタの長い方をピッタリ重ね合わせる
  4. 重ねた部分をガムテープで閉じる
  5. 補強する場合は、十字貼り・キ貼り・米字貼りを使う
ダンボール箱の組み立て方

フタをきれいに重ね合わせることで、強度はかなり変わってきます。細かいことですが、大切な荷物を守るためにも徹底しましょう。

※段ボールを組み立てる際は、粘着力の低い養生テープではなく、粘着力の高いクラフトテープや布テープを使用するようにしてください。

詰めすぎはNG

特に小物や書類・書籍などは、「わかりやすいようにひとまとめにしておこう」ということで、段ボールへぎゅうぎゅうに詰めてしまいがちです。

これは重量が増して、底が抜ける危険性があるだけでなく、十分な緩衝材の入る余地がなくなったり、荷物と荷物がこすれて傷がついたりする恐れがあります。

段ボールには余裕を持たせて、荷物を入れていきましょう。

デスクなどの引き出しや扉には養生テープ

デスクの引き出しや、棚の扉など開閉する荷物には、養生テープを貼って開閉の動きを固定しておきましょう。

荷物を運ぶ際に、引き出しや扉が開閉すると非常に危険で、事故につながる恐れがあります。

この時、クラフトテープや布テープではなく、必ず養生テープを使用するようにしましょう。粘着力が弱く、はがした後も跡がほとんどつきません。

エアーキャップの活用

壊れやすい精密機器や割れやすいものは、エアーキャップ(いわゆるプチプチ)でしっかりと包んだ上で運びましょう。手間はかかりますが、大切なものの破損を防ぐために、丁寧に行ってください。

エアーキャップは、ネットはもちろん、ホームセンターや100円ショップでも売られています。オフィス移転を行う際は、たくさんの荷物を運ぶことになりますので、ロールで購入しておくのが良いでしょう。

データのバックアップを取ろう

オフィス移転にあたって、トラブルはよく起こりますが、特に気を付けなければならないのがデータ管理に関するトラブルです。

普段業務で使用しているパソコンやHDDの電子機器には、重要なデータがたくさん入っています。それら電子機器を運ぶ過程で、落としたりぶつけたりといった衝撃により、データを破損する可能性は大いにあります。

データが破損すれば、普段の業務に大きな影響を与えます。どれだけ丁寧に梱包しても、最悪の事態に備えて、重要なデータはバックアップを取っておきましょう。

また、電子機器の外見は傷ついていないけど中身のデータだけは破損している、といった場合があり、ぱっと見は破損しているかどうかわかりにくいです。

こうなると、例えば業者にパソコン搬出入を任せて、そのせいでデータが消えたとしても「傷が見当たらない以上、最初からデータが破損していたのではないか」などといった主張が業者側から上がり、なんの補償もないまま進むことがあります。

こうしたリスクを回避するためにも、データのバックアップは必須なのです。

ラベルシールの活用

オフィス内にある荷物を段ボールに詰めると、どの荷物がどの段ボールに入っているかわからなくなります。そうなるといちいちガムテープを外して、段ボールの中身を確認しなければなりません。

そうならないように、ラベルシールを段ボールに貼って、中身が何なのかわかるようにしておきましょう。

もちろん、ラベルシールを貼るのは段ボールだけではありません。廃棄する荷物には廃棄のラベルを張り、オフィス移転後には、どの荷物をどこに配置するのかがわかるようにラベルシールに情報を記載しておくと非常に便利です。

ラベルシールとオフィスの図面に番号などふり、あらかじめ引越業者に伝えておけば、移転後のレイアウトに沿って、ある程度荷物を勝手に配置してくれます。

荷物の紛失や行方不明だけでなく、スムーズなオフィス移転のためにも、しっかりとラベルシールを活用しましょう。

まとめ

オフィス移転の際の荷造りは、オフィス規模にもよりますが、非常に工数のかかる作業です。引越し当日に慌てないためにも、またオフィスに移転した後、スムーズに通常業務に戻れるためにも、荷造りは最低限下記の2つに取り組んで、事前の準備をしっかりしておきましょう。

  • 梱包資材の準備と確保
  • 荷造りリストとスケジュールの作成