日々仕事をする中で、ストレスを知らぬ間に抱えている方も多いのではないでしょうか。満員電車で職場まで向かい、パソコンで長時間の作業をしていると心身ともに疲れが溜まってくるのも当然です。

ストレスの解消や幸福度を向上させながら仕事ができれば、より仕事の生産性が向上し、会社全体に良い影響を与えるでしょう。そこで、注目されている方法が、自然を取り入れることでストレス緩和と集中力が高まる「バイオフィリア」です。

この記事では、オフィスにバイオフィリアを導入する効果や方法、事例を紹介します。少しでも働きやすい環境づくりを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

バイオフィリアとは

バイオフィリアとは、自然・生命を意味する「バイオ」と愛好の「フィリア」を組み合わせた造語です。1984年にアメリカの生物研究者、エドワード・O・ウィルソンが「人は自然とのつながりを求める本能的欲求を持つ」という概念を提唱しました。この「バイオフィリア」の概念をオフィス内に取り入れることで、自然と触れ合い幸福度や集中力が向上する効果があります。

ビジネス心理学を研究しているアメリカのロバートソン・クーパー社では、イギリス・フランス・ドイツなどを含む世界16カ国で7,600名の従業員対象に「バイオフィリアを取り入れたオフィスがどのような影響を与えるか」という調査をしました。調査の結果、オフィスに自然を取り込むと心理面でも業績面でもプラスに働くことが証明されています。

オフィスにバイオフィリアを導入する3つのメリット

オフィスにバイオフィリアを導入すると以下のメリットが得られます。ぜひメリットを参考に導入を検討してください。

  • ストレスが軽減する
  • 生産性が向上する
  • 創造性が向上する

ストレスが軽減する

バイオフィリアをオフィスに導入すると、ストレス緩和に効果的です。アメリカのロバートソン・クーパー社が行った「世界中の職場におけるバイオフィリックデザインの効果」によると、職場でストレスを感じたことがあると回答した方は、約47%という結果が出ています。

ストレスの感じ方や原因は人により異なるため、根本からストレスを取り除くことは困難ですが、バイオフィリア効果で軽減可能です。

また、緑や自然音、香りはストレスを緩和させて幸福度をアップさせます。幸福度が上がることで、仕事への意欲も増すでしょう。

生産性が向上する

バイオフィリアで従業員の幸福度が高まると、生産性が向上しやすい傾向にあります。なぜなら、職場で幸福度が高まると集中力が増すからです。

バイオフィリアの効果で、職場環境がいい、仕事しやすいと感じてもらうことにより、職場での幸福度が高まり、結果的に仕事への集中力につながります。職場で集中力が増すと、仕事に没頭する時間が増えるため、必然的に従業員の生産性が向上するでしょう。

創造性が向上する

最後のメリットは、創造性の向上です。バイオフィリアをオフィスに取り入れると、身近に自然を感じられるため、想像力や思考力が豊かになります。新しいアイデアや新たなコミュニケーションが生まれやすく、企業全体で創造性が向上するでしょう。

新しいアイデアや企画を生み出すことに行き詰まっている、または創造性アップにより斬新な企画を提案してほしい場合に、バイオフィリアは効果的です。

オフィスにバイオフィリアを導入する方法

本記事を読んで、早速オフィスにバイオフィリアを導入したいとお考えの方もいるでしょう。しかし、自然を取り入れるといっても何からすればいいか迷ってしまう方もいるかと思います。ここからは、オフィスにバイオフィリアを導入する方法を紹介します。

オフィスを植物がある空間にする

バイオフィリアを取り入れたオフィスにするために、まず植物を設置しましょう。観葉植物を壁や天井など、オフィス全体に設置することは、バイオフィリアの取り組みでもよくある一例です。

観葉植物を床やデスクに置くだけでも効果を発揮しますが、天井や壁に飾ることでワークスペースの圧迫緩和になります。また、場所に合わせて観葉植物の飾り方にこだわると、より良い仕事環境を作り出せるでしょう。

自然光が入り、空気が循環する環境

自然光が入り込むことも、ワークスペースにおいて重要なポイントの一つです。アメリカのロバートソン・クーパー社が行った「世界中の職場におけるバイオフィリックデザインの効果」によると、自然光や植物が少ない職場では、疾病により欠勤率が高い傾向にあることがわかっています。

窓から自然光や空気を取り入れて、環境のよいオフィスを作りましょう。

木材のオフィス家具を設置する

オフィスにある家具を木材に変更するだけでも、バイオフィリアの効果を期待できます。

千葉大学が発表した「木材セラピー:嗅覚・触覚・視覚を介した生理的リラックス効果」によると、木材を見た時はなにもない時と比較して、脳の活動が沈静化することが報告されています。

女子大学生28名を対象に、大型ディスプレイに実物と同じ大きさの木材を縦方向に貼った壁と横方向に貼った壁、グレーの画像を映し出し、90秒間凝視してもらう実験が行われました。

実験の結果、縦向き・横向きどちらの木目も脳前頭前野活動が沈静化し、リラックス効果を得られることがわかりました。このように、木材からリラックス効果が得られるため、植物を取り入れられない職場には、木材のオフィス家具の設置がおすすめです。

自然音や匂いを取り入れる

自然音や自然の匂いを導入することでも、リラックス効果が得られます。川や森の音や匂いなど取り入れることで、自然の中にいるような気分を再現できます。視覚的にバイオフィリア効果を与えることも効果的ですが、嗅覚や聴覚に自然を感じさせることで同様な効果が得られるでしょう。

しかし、人により自然音がうるさいと感じたり、匂いが合わず気分が悪くなったりもします。少しでも不快感を与えてしまうと、かえって働きにくい環境となってしまうため要注意です。

オフィスにバイオフィリアを導入している事例

実際、オフィスにバイオフィリアを導入している会社は多くあります。以下で、有名な導入事例について紹介します。

Google

アメリカのカリフォルニア州に位置するGoogle本社のGoogle plexは、オフィス内のあらゆる場所に植物が取り入れられています。また、その他にも地球温暖化に取り組む「グリーンイニシアチブ」活動も行っており、建築に用いられた材料は木材のみです。

さらに、家具は環境に優しいことが証明されているLEEDまたはCradle-to-Cradle認定があるもののみが使用されています。自然を取り入れるとともに、環境に優しい家具や木材で建設されていることが特徴です。

Amazon

アメリカのシアトルに位置するAmazon本社は、3つの巨大なガラス張りのドーム型が特徴です。ガラス張りの作りにすることで自然光が入りやすく、明るいワークスペースを維持できます。

世界中から集められた約1,000品種の植物が4万本以上植えられており、自然を感じられる空間を実現しています。

また、ルビとも呼ばれる高さ3.2メートルのフランスゴムの木やリビングウォールと水槽が混合したビバリウムなども設置されていることが特徴です。室内温度や湿度にもこだわりがあり、館内は温度22度、湿度60%以上に保たれています。

Apple

アメリカのカリフォルニア州に位置するApple本社のApple Parkは、ドーナツ型の建物が特徴です。オフィスの総床面積はおよそ26万平方メートルと超巨大なオフィスで、従業員は約1万2,000人です。Appleの創設者であるスティーブ・ジョブズは、職場オフィスよりかは自然保護区のようなキャンパスを目指していると述べていました。

そのことからキャンパス内には、カリフォルニア固有種の木が約9,000本も植えられています。また、中庭には人工池や果樹園があり、いつでもどこでも自然が感じられる空間を実現しています。

オフィスにバリオフィリアを取り入れて働きやすい環境を作る

バイオフィリアをオフィスに取り入れると、ストレス軽減や幸福度、生産性、創造性の向上が期待できます。また、植物を取り入れるだけでなく、自然光や木材の家具、自然音や匂いからでもバイオフィリア効果を感じられます。

職場をより働きやすく、良い環境にするためにも自然の効果は絶大です。多くのメリットを感じられるため、オフィスにバイオフィリアを積極的に取り入れることを検討しましょう。

しかし、物件によりバイオフィリアを導入しにくいオフィスもあります。東京事務所探しプラスでは、お客様の意向に沿ってバイオフィリアを導入しやすいオフィスを提案致します。お気軽にお問い合わせください。