新たにオフィスを借りるとなれば、大きな費用と労力がかかってしまうでしょう。できるだけ手間なくオフィス移転をしたいなら、居抜き物件に注目してみてください。どのようなオフィスなのか、特徴を紹介します。

居抜きオフィスとは?

居抜きオフィスとは、前の入居者による内装や家具などが残っている物件のことです。通常の物件は、内装や家具をすべて撤去した状態で貸し出しています。一方で、居抜きオフィスなら、そのままの状態でオフィスとして使えるため、初期費用を抑え手間を省くことができます。

通常、オフィスの移転は短期的にはないため、居抜き物件といっても使用感のある物件が少なくありませんでした。しかし、コロナの影響により短期間での移転が珍しくなくなり、使用感の少ない物件が増加しています。

新品に近い状態でそのまま処分するのはもったいないと感じ内装や家具類を残している物件が増えているため、以前と比べて選びやすくなったでしょう。

居抜きオフィスのメリット・デメリット

居抜きオフィスのメリット・デメリット

居抜きオフィスを選択すると、入居時と退去時にメリットが得られます。ただし、デメリットもあるため、事前に確認しておきましょう。

居抜きオフィスのメリット

多くの人が感じやすいメリットは、コストダウンでしょう。まっさらな状態からオフィスを新設するとなると、内装に大きな費用がかかります。内装費用の目安は、坪単価10~30万円です。前の入居者が残した内装を活用すれば、入居時のコストダウンが可能です。

また、一般的なオフィスだと退去時に原状回復費用がかかります。費用の目安は、坪単価10~15万円程度です。居抜き物件であれば、撤去費用が不要で清掃費用くらいで済みます。廃棄する物が少なければ、環境対策にもなるでしょう。

さらに内装や家具などが揃っているため、すぐに入居ができます。ベンチャー企業のように、開業までの時間削減を求めるケースに向いているでしょう。内装のデザインをする手間がなく、運び入れる物が少なければ、契約当日から事業開始ができます。

居抜きオフィスのデメリット

一方で居抜きオフィスのデメリットは、大規模オフィスに向いていない点です。従業員100人以上に対応する物件は少なく、多くの物件は小規模です。大規模のオフィスであれば、必要な設備が異なるため、まっさらな状態から設計したほうがいいかもしれません。

比較的探しやすいのは、従業員が十数人程度の場合です。部屋数が少なくてもいい会社なら、多くの物件がヒットしやすいでしょう。居抜き物件は、少人数で事業を開始する場合におすすすめです。

また、居抜きオフィスはお得感があることから人気があります。物件が公開される前に入居者が決まることも少なくありません。需要に対して供給が追い付かない状況のため、希望するなら早めの行動がおすすめです。不動産会社に問い合わせて、新たな物件が出たら連絡してもらうといいでしょう。

居抜きオフィスを選ぶ際の6つの注意点

居抜きオフィスを選ぶ際の6つの注意点

お得感がありスピーディに入居できますが、物件によりルールが異なるため注意してください。思っていた契約とは異なることがあるため、物件ごとに詳細を確認しましょう。具体的に確認しておきたい内容を紹介します。

1.必要な物があるか

確認せず入居してしまうと、あると思っていた物が不足していることがあります。オーナーによっても残す物のルールが異なるためです。当たり前に残されていると思わず、現場を見ながら、契約書で確認してください。

2.退去時はどこまで撤去するか

入居時と同様に退去時のルールもオーナーごとに違います。内装はそのまま残せるとしても、什器をすべて撤去するルールかもしれません。具体的にどこまで残していいのか、契約書で確認するようにしましょう。また、原状回復費用についても、事前に見積もりを取っておくと安心です。

3.クリーニングはどちらか

部屋のクリーニングは、退去時か入居時に必要か確認しておきましょう。また、エアコンが設置されているオフィスでは、入居中にクリーニング費用がかかる場合があります。

4.壊れている物はないか

前の入居者が残していった物のなかには、壊れている場合があります。壊れて使えなければ、自分で新しく入れ替えなければなりません。残された物の多くは中古のため、壊れていない保証はないでしょう。入居前に使えるのか、使えるなら何年くらい使えそうか確認すると安心です。細かい部分では、電球や蛍光灯の交換が必要かも確認するといいでしょう。

5.汚れていないか

残されている物が壊れていない場合でも、汚れているかもしれません。使い古し感があると、結局新しいものに交換が必要かもしれません。とくに長く使われてきた物件では、古くなっている場合があります。

6.配線が必要か

パソコンを使用する場合は、LAN回線が引かれているか確認しましょう。新たに設置が必要だと費用がかかります。また、使用する機器が多い場合は、コンセントの位置や数も確認してください。

まとめ

今回は、居抜きオフィスの仕組みやメリット・デメリット、選ぶ際の注意点などを詳しく解説しました。

オフィスを借りる費用や期間の節約を考えているなら、居抜きオフィスの活用がおすすめです。ただし、物件により条件が異なるため、詳細まで確認するようにしましょう。

居抜きオフィスは人気物件のため、早めの行動で条件の良い物件を探してみてください。