兜町といえばニューヨークのウォール街、イギリスのシティ・オブ・ロンドンと並ぶ世界三大金融街としてよく知られているエリアのひとつです。
江戸時代から金融の中心地として街づくりが行われ、多くの銀行や証券会社が見られる一方で、最近では再開発も盛んに行われています。
おしゃれなお店や商業施設なども増えてきており、街の様子が大きく変化してきているのが特徴です。
今回は、変わりつつある兜町の歴史、エリアの特徴などを詳しくご紹介していきます。

兜町の歴史

兜町という名称は非常に特徴的ですが、その起源は「兜岩」と呼ばれる岩にあります。
朝廷に反旗を翻した平将門を討ち取った藤原秀郷が、将門の首を兜ごと埋め、その上に岩を置いて塚としたのが兜町の由来となりました。
現在でも東京証券取引所本館の北側に、兜神社として小さな神社が残っており、初詣には多くの証券マンが訪れています。

軍事拠点として武家屋敷が建ち並ぶ江戸時代の兜町

江戸時代以前の兜町エリアは沼地でしたが、江戸時代になると江戸城の築城を目的とした大規模な埋立工事が計画され、資材搬入の船着き場としての役割を果たしました。
江戸城が完成してからは向井将監や間宮造酒丞、小浜弥三郎など、水軍の将をはじめとする武家屋敷が多く配置され、江戸防衛のための水軍拠点として発展していきます。

金融の街へと変貌を遂げる明治時代の兜町

兜町が現在のように金融の街となるのは、明治時代になってからです。
江戸時代まで数多く見られた武家屋敷は、明治維新によって明治政府に収公されて官有地となり、周辺のエリアには当時の国の財政を管轄していた民部省通産司、政府公認の米商会社などが建設されました。
その後、兜町エリアの土地が三井などの豪商に下賜されたことをきっかけに、第一国立銀行(みずほ銀行の前身)が建設されました。
さらには渋沢栄一氏などがリーダーシップを執って、1878年には東京株式取引所が建設されるなど、兜町は金融の街として大きく変化していくことになります。

関東大震災で生まれ変わる大正時代の兜町

第一国立銀行や東京株式取引所の設立により、明治時代に金融の街として大きな発展を遂げた兜町は、大正時代になると大小の銀行や証券会社が建ち並び、金融マンを相手とする飲食店や宿泊施設なども急激に増えていきました。
当時は電話が普及していなかったため、株式の注文を取り次ぐ証券マンたちが行き交う姿がよく見られたそうです。
しかし、1923年に関東大震災が発生すると、兜町エリア一帯は火災により焼け野原と化し、兜町の象徴であった東京株式取引所も消失してしまいます。
震災後は、天幕内で現物取引が行われる時期もありましたが、大正の終わりから昭和にかけて耐震・耐火性能に優れた現代風の建物が次々に建設されると、モダンな街並みへと生まれ変わりました。

活気を失いかけた昭和初期の兜町

関東大震災によって生まれ変わった兜町の街並みですが、1929年(昭和4年)ニューヨーク株式市場の暴落に端を発した世界大恐慌の影響により、兜町をはじめとする世界中の金融市場は大きなダメージを受けることになりました。
さらに、第二次世界大戦の戦況の悪化による株式取引の規制、敗戦による取引停止などによって、金融の街としての兜町は活気を失ってしまいます。

再び活気を取り戻した戦後の兜町

再び活気を取り戻した戦後の兜町

敗戦により停止されていた取引は、GHQの統制下で1949年に再開されることになりました。
高度経済成長の影響で株価も急騰し、兜町は名実ともに「日本の金融・経済の中心」としての活気を取り戻すことになります。
旧東京証券取引所ビルの周辺には、銀行や証券会社の大きなビルが次々に建設され、オフィスビルや複合ビルなども多く見られるようになりました。
バブル期には兜町のにぎわいも最高潮を迎え、取引所の立会場には毎日何千人もの証券マンが集まり、昼休みになると飲食店へと一斉に繰り出していく様子は街の名物でもありました。

株の電子化により転機を迎えた兜町の現在

株式の電子化やインターネットの普及によって、これまでのように取引に多くの人手が必要でなくなったこともあり、2000年以降の兜町のあり方は大きく変化しています。
いくつかの活性化プロジェクトも立ち上がり、古い建物をリノベーションしてホテルや飲食店として活用するなど、落ち着いた雰囲気はそのままに、おしゃれな街並みへと変わりつつあります。
今後も複合施設の建設が予定されているなど、兜町の変化から目が離せません。

兜町エリアの特徴

兜町エリアは、金融の街として古くから発展してきたエリアということもあり、ぜひともオフィスを構えたいと考えている方も多いでしょう。
そのような方に向けて、ここでは兜町の特徴を詳しくご紹介していきます。

兜町の交通アクセス

兜町は東京都中央区の日本橋エリアに位置し、元々埋め立て地であったことからもわかるように、水路に囲まれたウォータフロントエリアです。
エリア的には東京メトロ日比谷線・東西線が乗り入れる「茅場町駅」と、東京メトロ銀座線と東西線、さらには都営地下鉄浅草線の3線が乗り入れている「日本橋駅」の中間に位置しています。
どちらの駅からも、徒歩で5分以内とアクセスが非常によく便利であるほか、JR東京駅からも徒歩圏内です。
都内はもちろんのこと、横浜方面や埼玉方面へのアクセスも抜群ですし、羽田空港へも40分ほどでアクセス可能なため、出張の多いビジネスパーソンでも安心です。
また、首都高速都心環状線(京橋ジャンクション)や首都高速6号向島線(江戸橋ジャンクション)からもほど近く、自動車での移動も便利なエリアとなっています。

オフィスビルの状況

日本の金融の拠点ということもあり、兜町エリアには賃貸オフィス物件が豊富です。
業種や企業の規模に合わせた物件選びが可能であり、これから新規でビジネスを立ち上げるスタートアップ企業などからも人気が高いエリアとなっています。
場所柄、古めの物件をリノベーションした物件も多く、都心の一等地としては比較的賃料の安い物件を見つけやすいのも、兜町エリアの大きな特徴です。
再開発によりおしゃれな店舗や商業施設も増えていることから、落ち着いた雰囲気とおしゃれな雰囲気のどちらも兼ね備えた環境となっています。

兜町のオフィス賃料相場

兜町の賃貸オフィスの相場(坪単価)は、以下のとおりです。
築年数や立地などによって若干の誤差がありますので、あくまで目安としてお考えください。
20坪未満・・・15,000円
20~30坪・・・18,000円
30~50坪・・・25,000円
50~100坪・・・30,000円

まとめ

兜町といえば古くから金融の街として知られ、東京証券取引所をはじめとして、銀行や証券会社が建ち並んでいる街並みをイメージする方も多いかもしれませんが、近年はそのイメージも変わってきています。
大規模な再開発も進められていてホテルや飲食店、各種店舗を含む複合ビルなども多く見られ、新しい金融拠点として生まれ変わろうとしています。
賃貸オフィスのニーズも非常に高く、さまざまなタイプの賃貸オフィスがそろっているのも、兜町の魅力のひとつといえるでしょう。
オフィスの賃貸を検討されているのであれば、最優先でチェックしておきたいエリアです。

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